2015年10月31日

映画の感想★「マイ・インターン」「バクマン。」などなど

芸術の秋ってことで立て続けに映画観ました。

「マイ・インターン」、そして「バクマン。」

いい映画観るとテンションあがります〜。
おうち映画もいいけど映画館はやっぱり流れる時間が違うなぁ。

てなわけで、ほぼネタバレなしの感想書かせていただきます!

「マイ・インターン」


アン・ハサウェイ演じるバリキャリCEOのもとに、70代のシニア・インターン、要するに見習いのベン(ロバート・デ・ニーロ)が入社するというお話。
監督は「恋愛適齢期」のナンシー・マイヤーズ。
このお膳立てでつまらないはずないよねーと高期待値で観に行きました。

ビンゴ! 当たりです!
さすが女性監督のこまやかさは一味違います。

ハサウェイの美しいこと。キュートで繊細で演技力も高く、全盛期のオードリー・ヘプバーンに勝るとも劣らない大輪の花です。
そしてデ・ニーロ演じるベンみたいに人生経験豊富でお茶目で何でもデキるジェントルマン、日本にもいればいいのになー。ちょっと出来過ぎクンですけど。
彼が同僚の若い男性に
「ハンカチを必ず毎日持つのは自分のためじゃない。必要なとき女性に貸すためだ」

とアドバイスしてたの、萌えましたあ!
ちゃらいお兄さんじゃなく、仕事にも女性にも誠実に向きあって生きてきた70歳のセリフだからいいんです!

ただね、リアリティ要員なんでしょうか・・ハサウェイの旦那役の人の顔がとても現実的で・・。
ま、でも恋愛映画じゃないし、デ・ニーロの魅力食っちゃうようなのは出せない訳だから、あれはあれでありなのか。

ハリウッドが王道で良質のハートウォーミングコメディを作ってくれると俄然嬉しくなっちゃいます。
全体的なバランス感が素晴らしい作品。
はなまるです!


「バクマン。」


日本のすべての出版刊行物の中でトップの発行部数を誇る「少年ジャンプ」でてっぺんを目指す高校生マンガ家コンビの物語です。
いやこれも面白かった! 爽快でした!

マンガ家って過酷ですねぇ。
新人賞とるのだって超難関なのに、連載にこぎつけるまでにまた熾烈な競争がある。
しかも、週刊連載ってどんだけ命削って描かなあかんの!
高校生で血尿、入院なんて!
飲まず食わず眠らずで血ヘドを吐きながら描いたって、読者アンケートの順位がすべて。
順位が二ケタに落ち込めば連載打ち切り候補にあげられ、戦力外通告を受ければ無職の身、原稿持ち込みから再スタートしなくてはなりません。

主人公2人は才能はあるけれども、天才ではないという設定。
彼らと同世代の若き天才マンガ家や、他の新人たちとの人間関係を絡めたストーリー自体も興味深かったのですが、とにもかくにも演出が冴えまくってます!
プロジェクションマッピングとかの最新技術を駆使したバトルは、スタイリッシュでスピーディーで、目を奪われるアクションでした・・って何の映画を観たんだ私。

そしてなにより必見なのはエンドロールですね。面白すぎでしょ。これ考えついた人に特許さしあげたいっ!

しかし佐藤健、いくらなんでも彼を高校生に見たてろというのは無茶です。
神木隆之介はその点OKですがアップだと肌のブツブツがな・・・可愛いんだけど。
2人とも上手ですね。さすがに殺陣(?)もキマってましたし。
演技では、でもたぶん編集者役の山田孝之が一番よかったかなあ。


あっ、映画の感想と書きましたけど、ここから突然、原作マンガの話になります。
すみません、しかもかなりディスってます。

映画の後で「バクマン。」の原作を全巻読んだのですが(20巻完結)、好き嫌いで言うと好きじゃなかったです。残念。


原作と作画はあのデスノートコンビなので、ストーリーはおもしろいんですよちゃんと。
特にマンガ好きな人なら、その設定だけで引き込まれると思います。
一流商業誌で連載を張る厳しさは嫌というほど伝わってきたし、マンガ家と編集者の関係、アシスタントの人間模様なども興味深く描かれ、何より作中マンガの数々が面白そう。 
絵も上手くて美しい。「あーこのマンガ好きじゃない」と一巻の時点で思っていた私に読破させたのですから、流石ジャンプのヒットメーカーだとは思います確かに。

ただ、私はこのマンガの、というか作者の、計算だけで作ってる感じがどーも馴染まなさ過ぎて辛かったです。
「悔しい」も「嬉しい」も「燃える」もストーリー進行上の構成物に過ぎず、上手に記号化してネームに起こして絵をのっけてる印象。
生の感情が不思議なほど心に届かない。
面白いマンガを描いて、アンケート順位や単行本の部数をライバルと競うという趣旨のバトルマンガですから、感情に訴えなくてもいいっちゃいいかもですが、これじゃ主人公に感情移入しろってほうが無理ですよ。もとより主人公に魅力がまったくないし。

比較的魅力的に描かれていたのは天才マンガ家のエイジと、なまけもののマンガ家・平松先生ですかね。ちょいちょいはさんでくる、平松先生と担当編集者の丁々発止の小ネタには毎回笑わせていただきました。

あと総じて女性キャラがつまらない。
ヒロインは「清純で一途な超かわいこちゃん」という、2次元の産物です。
私が生理的にダメなのは、原作者の偏狭な女性観、ぶっちゃけ女性蔑視がありありと透けて見えること。(デスノートでもそれ感じましたけど)
賢い頭を人には隠し(あえてテストで良い点を取らないとか、謎)、決して出しゃばらず、オクテな清純派の、若い美人。
もしくは男に盲目的に尽くすけなげな女。
うん、むりでした。

しかし・・・うーん、全体的にセリフまみれのマンガなんですよね。黙ってるコマがほとんどないんです。おかげで読むのに何日かかったことか。
画力で見せるべき領域まで言葉が出張ってる。それでセリフ回しに光るセンスでもあればいいんですけど、ない。
新キャラも手広く出し過ぎ。出したあげく放置プレイ。(少年マンガの王道なのか?)

で、マンガバトルの話だってのに、なぜか最後は恋愛マンガとして締めくくっているのですが、これアウトです! 超アウト!
なにこの妄想劇!
デ●ズニーだってもちっとリアルだろ!
だいたいだめでしょ、このマンガを恋愛で締めくくっちゃ。

恋愛マンガに必要なのは感情移入できるかどうか! のみ!
主人公の恋のゆくえなど、千原ジュニアのおのろけより遥かにどーでもいいわ、というくらい感情移入させないマンガなのに、ラストが恋愛て!
作者自身1mmも信じていないだろう、ぺらっぺらの幼稚な恋愛観なんて、読んでもしょうがないのにぃぃ。

しかもこれ、ページ数足りてなくないですか。
よもや最後だと夢にも思わずにページめくって、白紙だったのでビックリしました。
20巻も読んだのに余韻が行方不明ですが! !

すみません。
腹立ちすぎたので思い切りディスってしまいましたが、本当につまらなければレビュー自体書かないですし、このマンガがお好きな方がうっかりこの感想お読みになってしまったら、誠に申し訳ありません。
あくまで私が好きじゃないだけです。

ってふりだしに戻った!

 
posted by KIKI歌野 at 15:43| Comment(0) | 映画感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月25日

たそがれたかこ/僕だけがいない街/子供はわかってあげない

またまたマンガレビューを書かせていただきます。

まず「たそがれたかこ」

たそがれたかこ(4) (KCデラックス BE LOVE) -
たそがれたかこ(4) (KCデラックス BE LOVE) -

4巻&5巻 一気読みしました。
以前、既刊の感想をアップした続きです。→ 過去記事

たかこは地味な45歳の女性。
バツイチ。年老いた母親と娘と暮らしています。

若い頃から人付き合いが下手で、思春期をこじらせておとなになった彼女。
一巻でも、秋葉原のタワーレコードでたかこがCDを買うだけのシーンで魅了してくれた入江先生ですが、5巻ではとうとう、ライブハウスにまで行ってしまいます。
愛してやまない谷在家光一というアーティストと同じ空間を共有した、彼女の魂の迸りが紙面から吹き出してくるかのようでした。

さまざまな感情の彩り。
過去の記憶がライブのさなかに彼女を襲い(おそらく谷在家が歌い上げる歌詞とリンクするのでしょう)、不登校だった自分、人の輪にどうしても入れないまま大人になった自分への、愛ある肯定へとつながってゆきます。

本当に、本当に、ライブに行けてよかったねー、たかこさん。

その一方で、彼女は高校1年生の女の子のお母さんであり、その娘が摂食障害で苦しんでいるのを、懸命に助けようとしています。
それらすべてのエピソードに予定調和なし、ご都合主義なし、ヒロインに恋する男性など出てきません。

たかこや、たかこの周りの人々を見守るだけの漫画なんですけど、それがいい。
じわじわと、確実に、幸せの底上げをされる感覚があります。

こないだ入ったお店で飲んだコーヒーがびっくりするぐらいおいしかったので、お店の人に詳しく聞いてみたら、お店で豆を一つ一つ選り分けているとのこと。
地道な作業が、ハッとする美味を生み出す。
そんな細心の職人魂に通ずるところがあると思いました。
食べれば食べるほどおいしすぎるこの作品、超オススメです!


「僕だけがいない街」6巻

僕だけがいない街(6)<僕だけがいない街> (角川コミックス・エース) -
僕だけがいない街(6)<僕だけがいない街> (角川コミックス・エース) -
これも以前、5巻まで読んでレビューしました。→ 過去記事
6巻を読んで、あまりの衝撃展開に叫びそうになりました。

同じ時間を何度も行き来する不思議な能力を持った28歳の青年、悟
自分ではその能力を自由に操れず、どうやら、子供が絡んだ事件や事故を未然に防止するべく運命づけられている模様。
17年前に身近で起きた連続女児誘拐殺人事件を解決するため(おそらく)、気がつけば時をはるかに遡り、11歳の自分に戻っていた、と言うお話です。

17年前に戻っても知能は大人のままで、誰がいつどういう被害に合うか事前に知っているので、恐ろしく頭のいい子供になっちゃってますが、悟が巡らす事前防止策の数々を犯人に感づかれたため、殺されかけてしまいます。
でもどうせ力が働いて都合よく助かるんだろうなぁと思ったら、まさかのうわああ!!です。
この展開予想できた読者、1人もいなかったのでは!?

すごい、すごい・・・としか口をついて出てきませんでした。

いやーこれこそ漫画を読む醍醐味ですね。
ネタバレになってしまうので、全然詳しく言えませんけど、エンタメの1つの粋を極めた作品だと思いますので、強力にお勧めします!


「子供はわかってあげない」上下巻

子供はわかってあげない(上) (モーニング KC) -
子供はわかってあげない(上) (モーニング KC) -

田島列島、と言う漫画家さんの作品です。この方、初めて知りました。

実は絵柄で敬遠してました。
「このマンガがすごい」にランクインしていたので、パラパラとめくっては見たのですが、絵柄がメルヘンチックとゆうか、ほのぼのしすぎとゆうか、大人の琴線に引っかかるものがなかったのです。
本当に自分いい加減学べやと思うんですけど、そういう作品ほど裏切られますねー。

ネーム(セリフ)の周到なこと!

右脳の感性と左脳の構成力が融合すると、かくなる傑作が生まれるという見本。

ハッとさせられ、クスクス笑わされ、泣かせる珠玉のセリフたちを、ぜひご賞味いただきたいです。

高校生の男女のほのぼの恋愛・・・ではあるのですが、複雑な家庭事情、新興宗教のお金持ち逃げ事件等をからめ、一筋縄ではいかない作品になっています。

ちなみに主人公のお父さん、人の心が読める超能力者ですが、さらっと何の特殊感も押し出さずに話が流れていくのが面白いです。

最後のほうは、とにかく甘酸っぱく甘酸っぱく甘酸っぱい。
恋愛漫画がお好きな方よりむしろ苦手な方にこそお勧めしたい!
凹んでる方も、悩める方も、両腕でそっと抱きしめられるような感覚を味わわれることでしょう。

十分に大人の鑑賞に耐えます。
いえ、大人のための作品です。
何十年も前に青春を終えだけど心はまだ青いよ、という方にこそ読んでいただきたいですね〜。


さーて、次回は映画かドラマの感想など、だらだらと書いてみたいと思います。






posted by KIKI歌野 at 15:57| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月17日

世界でいちばんさいごのりゅう

最近いろんな本を読みました。
どの本も大変面白く、一生で出会える本はこんなにまで少ないのになぜもっとせっせと読書しないのか、そんな自分がちょっぴり悔しくもどかしい秋たけなわです。

肩のこらない本を読みたかったので、これも何気なしに手にとったのですが、いやいや、掛け値なしに素晴らしかったです。

新装版 ムーミン谷の仲間たち (講談社文庫) -
新装版 ムーミン谷の仲間たち (講談社文庫) -

「有名」なんてレベルじゃないのに、初めて真面目に読んだかも。

名物にうまいものなしって喩えがありますよね。
食べ物じゃなくても、ダ・ヴィンチの「モナリザ」などはいい例で有名じゃなければまず目にとめやしません。
ムーミンシリーズも同じで、ただ有名だから有名なんだろうと、漠然とあなどったりして全力ですみませんでした。
あ、モナリザも名画なのかもしれませんね。私にわからないだけです。

「ムーミン谷の仲間たち」は9編の短編から成っています。

それぞれのお話で登場人物が異なるのですが、いっとう最初の「春のしらぺ」の主人公はスナフキンです。
ムーミントロールからとても慕われている、放浪好きの自由人ですね。

「春のしらべ」を作曲するため孤独になりたいのに、森の中で「はい虫」にあれやこれや話しかけられたスナフキンは、いらだってしまいます。

もしぼくが、そんな旅のことを人に話したら、
ぼくはそれをきれぎれにはきだしてしまって、
みんなどこかへいってしまう。
そして、いよいよ旅がほんとうにどうだったかを思いだそうと
するときには、ぼくはただ、自分のした話のことを思いだす
だけじゃないか。
そういうことを、どうしてみんなはわかってくれないんだ、と。


これ、なんだかすごくよくわかりませんか。
私はわかりました。
というかスナフキンの独白によって、わかった気にさせられました。

ふつう程度に自己顕示欲がある人なら、私もですが、もちろん旅の話をします。
聞かれる限り語りたがることでしょう。
今の時代twitterもfacebookもブログもインスタグラムもある。
発信手段は山とある。
心の深いところにとどめて、温めておく何かがあったことなど、
もう大抵の人は忘れちゃっているのです。

「この世のおわりにおびえるフィリフヨンカ」

「世界でいちばんさいごのりゅう」

↑ これ、一番すきです。
ムーミントロールが愛らしい。
スナフキンが、冷たくて優しくて萌えます。
彼は童話界のツンデレですね。

「スニフとセドリックのこと」

どれもこれも読後に、ほぉ・・とため息がでました。

ユーモアと皮肉
嫉妬に怒り
なんともいえない愛嬌
思いやり


文章のひとつひとつに味わいがある。
細密な描写と飛躍をつかいわけて、手に取るように状況と登場人物の感情がわかる。
そもそも、「登場人物」は人間ではなく、想像上の生き物だというのに。

ハリー・ポッターや指輪物語もそうですけど、すぐれたファンタジーって、誰かの頭のなかでただこしらえたものだとは信じられませんよね。
実際にその場所を旅してからペンを手に取ったとしか思えないものです。

トーベ・ヤンソンの原文がまず比類なきものなのでしょうが、翻訳の山室静も素晴らしいです。

これからムーミンシリーズ読み進めていこうと思います。

あっ、そういえば姉がムーミンのファンでした。
今度本借りよっと。
posted by KIKI歌野 at 22:58| Comment(0) | その他感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする