どうにかこうにかやっと満開になったかと思ったら、悪天候のためほとんど一瞬で終了・・・。
お花見は計3回行ったけど、
咲いてなかった → まだらになってた → ハゲ散らかしてた
のホップ・ステップ・沈没でございました。
いいもん。どんな桜だって綺麗だもん(泣)
そんな傷心の春ですが、ただいま高橋一生様の出演作を追っかけてる最中でして(のわりに大河見てないけど)、放映当時は丸無視してた「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」通称「いつ恋」をフジテレビオンデマンドで見ました。

「カルテット」の坂元裕二センセの脚本。
重く辛い事情で地方から出てきて東京でひっそりと暮らす、若く貧しい男女の純愛物語です。
高橋一生出てなきゃ一生見ないやつです。あ、シャレじゃありません。
主演は有村架純と高良健吾ですね。
高良健吾、ファンではないけど、いい俳優さんだと思います。
彫刻のような顔立ちなのに(第一話の寝顔の美しさよ!)、いい意味で美形と感じさせない何かがある。
切っ先鋭いナイフみたいな危うさがあるけど、愚直なほど優しいこんな役もきちんとこなしています。
有村架純は可愛い! 男目線で見ざるを得ない可憐さだわー。
女優にしてはそれほど小顔じゃないんだけど、もったりした輪郭の垢ぬけなさがなんか逆に愛おしい。
で、全10話を見た感想は・・・うーん、全体的には悪くはないんですが、ちょいちょい首を傾げてしまったドラマでした。
(以下ネタバレ含みますが、あらすじは書きませんので、見てない人には何がなんだか・・だと思いますw)
人情紙の如しの東京砂漠を描写するシーンどうなのあれ・・・。
人身事故が起これば電車は「5分の遅れ」なんかで済みません。
赤ちゃんが泣いて文句言う人とかよほどの変人です。
たまに男性客同士のケンカとか肘鉄合戦とかはあるけど、東京の人は概しておとなしいですからね。
おととしくらいに私が経験したことですが・・。
東京の交通機関は脆弱なので、たまーに大雪が降ると電車は極端な間引き運転をします。
その朝も、電車に乗れない人々の行列がホームはおろか駅の外まで溢れ出し、当然車内は身動きひとつとれない肺潰しの拷問部屋となるので、もともと体調不良だったらしい中年の男性が意識朦朧になってしまったことがありました。
ドアにもたれて滝のような汗を流すその男性に、「降りたほうがいいんじゃないですか?」「大丈夫ですか?」と、周りの乗客は口々に声をかけ、最後には「あーだめだ」「もう降ろそう」と、数人でその人を支えて駅員さんに引き渡していました。
そんなこんなしてたら、肩にかけていたはずの私のバッグがいつのまにかなくなってました。
げっ落とした?
しかししゃがんで探せる状態ではないので、周りの人に伝えたところ、肺潰れ状態なのに体を無理やり動かしてくれたおかげで、無事に発見できました。
「あったんだ、よかった」
「よかった」
「よかった」
という声があちこちから聞こえてきて(遠くからも)、人の温かさに泣きたくなりましたよ。
よほどの極限状態じゃない限り人の良心は死にましぇん。普段は無表情な乗客でもね。
なのでああいう東京砂漠の描かれ方はかなりの違和感でしたね。
で、なんかね・・・ブラックな女社長がいつの間にか好人物にキャラ変換とか・・・盗癖・虚言癖有のパワハラ先輩もすっかり改心してるし・・・ヒロインの恋人の御曹司もキャラぶれぶれで・・・
いやその前に主人公自体ぶれぶれで・・・お祖父ちゃんが死んでプチ黒化して(五年経ってるけど)すぐ立ち直って善人に元通りとか・・・黒化したのは全然いいよ。何もかも元通りになりすぎなんだよ。何も柿谷運送に舞い戻らなくたって、別の道を模索したっていいじゃないか。
彼らは「キャラ」じゃない。生きてる人間なんだ。
だから時にはあいまいで、矛盾してて、つじつまのあわないものなんだ。それで正解なんだ。
カルテットでそう納得させてくれたほどの説得力がどうしても感じられなくて・・・
なんでだろ・・
フジだったから?
お偉いさんとかスポンサーとか事務所とかの横やりが入って、大御所の先生でも好きなように書けなかったとか?
いや、
登場人物が多いのに10話しかなかった
のかな。単に。
類型的な人物を書かない坂元センセのこだわりが裏目に出て、さすがに尺が無理すぎた・・的な?
でも胸を打たれるエピソードはたくさんあるんですよ。ハッとさせられる瞬間も。
田中泯演じるおじいさんの最期なんか涙出ちゃった・・・何か月着替えてなかったんだというツッコミはあるけど・・・。
あと、最終話の病院でのエピソードも良かったなあ・・・。
「たぶん錬が行った」
このセリフすごい。元カノに言わせたのも万人が納得するうまさ!
たったこれだけで自分の負けを悟る御曹司が切なすぎましたよ。
ファミレスでのラストシーンもじんわり胸に沁みました。よかったね、2人とも・・・。
うん、突っ込みながらも10話完走できたし、楽しませていただきました。

高橋一生の金髪姿も見れた(似合ってはいなかった)
高橋一生の役は憎ったらしいヒールなんですが、失意に満ちた悲しい人であることがやがてわかります。
お金に汚いのは別れて暮らしている息子の入学資金が欲しいから。
この「愛想つかされて離婚されたろくでなし。でも実は子煩悩」ってキャラ、家森さんとかぶるなあ。
でも「いつ恋」ではメインキャラじゃないので、彼の事情に関してはほとんど尺を割けなかった。魅力的な肉付けは出来てたのにね。坂元センセは、だからカルテットの家森さんを造形したのかしら・・なーんてついつい邪推したり。
家森さんには幸せでいてほしいけれど、この先輩は哀しみの闇落ちしてほしかったかもです〜。
あー今日は久々に晴れた。
春だなあ。