2017年04月10日

いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう

今年の桜は遅咲きでした(in 東京)。
どうにかこうにかやっと満開になったかと思ったら、悪天候のためほとんど一瞬で終了・・・。
お花見は計3回行ったけど、

咲いてなかった → まだらになってた → ハゲ散らかしてた

のホップ・ステップ・沈没でございました。
いいもん。どんな桜だって綺麗だもん(泣)

そんな傷心の春ですが、ただいま高橋一生様の出演作を追っかけてる最中でして(のわりに大河見てないけど)、放映当時は丸無視してた「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」通称「いつ恋」をフジテレビオンデマンドで見ました。

いつ恋.jpg
「カルテット」の坂元裕二センセの脚本。

重く辛い事情で地方から出てきて東京でひっそりと暮らす、若く貧しい男女の純愛物語です。
高橋一生出てなきゃ一生見ないやつです。あ、シャレじゃありません。

主演は有村架純と高良健吾ですね。

高良健吾、ファンではないけど、いい俳優さんだと思います。
彫刻のような顔立ちなのに(第一話の寝顔の美しさよ!)、いい意味で美形と感じさせない何かがある。
切っ先鋭いナイフみたいな危うさがあるけど、愚直なほど優しいこんな役もきちんとこなしています。

有村架純は可愛い! 男目線で見ざるを得ない可憐さだわー。
女優にしてはそれほど小顔じゃないんだけど、もったりした輪郭の垢ぬけなさがなんか逆に愛おしい。

で、全10話を見た感想は・・・うーん、全体的には悪くはないんですが、ちょいちょい首を傾げてしまったドラマでした。

(以下ネタバレ含みますが、あらすじは書きませんので、見てない人には何がなんだか・・だと思いますw)


人情紙の如しの東京砂漠を描写するシーンどうなのあれ・・・。

人身事故が起これば電車は「5分の遅れ」なんかで済みません。
赤ちゃんが泣いて文句言う人とかよほどの変人です。
たまに男性客同士のケンカとか肘鉄合戦とかはあるけど、東京の人は概しておとなしいですからね。

おととしくらいに私が経験したことですが・・。
東京の交通機関は脆弱なので、たまーに大雪が降ると電車は極端な間引き運転をします。
その朝も、電車に乗れない人々の行列がホームはおろか駅の外まで溢れ出し、当然車内は身動きひとつとれない肺潰しの拷問部屋となるので、もともと体調不良だったらしい中年の男性が意識朦朧になってしまったことがありました。
ドアにもたれて滝のような汗を流すその男性に、「降りたほうがいいんじゃないですか?」「大丈夫ですか?」と、周りの乗客は口々に声をかけ、最後には「あーだめだ」「もう降ろそう」と、数人でその人を支えて駅員さんに引き渡していました。

そんなこんなしてたら、肩にかけていたはずの私のバッグがいつのまにかなくなってました。
げっ落とした?
しかししゃがんで探せる状態ではないので、周りの人に伝えたところ、肺潰れ状態なのに体を無理やり動かしてくれたおかげで、無事に発見できました。

「あったんだ、よかった」
「よかった」
「よかった」

という声があちこちから聞こえてきて(遠くからも)、人の温かさに泣きたくなりましたよ。
よほどの極限状態じゃない限り人の良心は死にましぇん。普段は無表情な乗客でもね。
なのでああいう東京砂漠の描かれ方はかなりの違和感でしたね。

で、なんかね・・・ブラックな女社長がいつの間にか好人物にキャラ変換とか・・・盗癖・虚言癖有のパワハラ先輩もすっかり改心してるし・・・ヒロインの恋人の御曹司もキャラぶれぶれで・・・

いやその前に主人公自体ぶれぶれで・・・お祖父ちゃんが死んでプチ黒化して(五年経ってるけど)すぐ立ち直って善人に元通りとか・・・黒化したのは全然いいよ。何もかも元通りになりすぎなんだよ。何も柿谷運送に舞い戻らなくたって、別の道を模索したっていいじゃないか。

彼らは「キャラ」じゃない。生きてる人間なんだ。
だから時にはあいまいで、矛盾してて、つじつまのあわないものなんだ。それで正解なんだ。


カルテットでそう納得させてくれたほどの説得力がどうしても感じられなくて・・・

なんでだろ・・
フジだったから?
お偉いさんとかスポンサーとか事務所とかの横やりが入って、大御所の先生でも好きなように書けなかったとか?

いや、

登場人物が多いのに10話しかなかった


のかな。単に。

類型的な人物を書かない坂元センセのこだわりが裏目に出て、さすがに尺が無理すぎた・・的な?

でも胸を打たれるエピソードはたくさんあるんですよ。ハッとさせられる瞬間も。
田中泯演じるおじいさんの最期なんか涙出ちゃった・・・何か月着替えてなかったんだというツッコミはあるけど・・・。

あと、最終話の病院でのエピソードも良かったなあ・・・。

「たぶん錬が行った」

このセリフすごい。元カノに言わせたのも万人が納得するうまさ!
たったこれだけで自分の負けを悟る御曹司が切なすぎましたよ。

ファミレスでのラストシーンもじんわり胸に沁みました。よかったね、2人とも・・・。

うん、突っ込みながらも10話完走できたし、楽しませていただきました。

いつ恋2.jpg
高橋一生の金髪姿も見れた(似合ってはいなかった)

高橋一生の役は憎ったらしいヒールなんですが、失意に満ちた悲しい人であることがやがてわかります。
お金に汚いのは別れて暮らしている息子の入学資金が欲しいから。
この「愛想つかされて離婚されたろくでなし。でも実は子煩悩」ってキャラ、家森さんとかぶるなあ。

でも「いつ恋」ではメインキャラじゃないので、彼の事情に関してはほとんど尺を割けなかった。魅力的な肉付けは出来てたのにね。坂元センセは、だからカルテットの家森さんを造形したのかしら・・なーんてついつい邪推したり。

家森さんには幸せでいてほしいけれど、この先輩は哀しみの闇落ちしてほしかったかもです〜。


あー今日は久々に晴れた。
春だなあ。



posted by KIKI歌野 at 07:46| Comment(0) | ドラマ感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月30日

なつかしドラマ:岸辺のアルバム

聞いたことはあるけど見たことない名作ドラマ、山ほどあります。
ちょっと前のやつならともかく、何十年も昔のだとレンタル探すのも一苦労だし、なくてどうしても見たければ買うほかないけど、DVD-BOXに二万円ポンって勇者じゃないので、結局見れないままだったりします。

そんな折、1977年制作ドラマ「岸辺のアルバム」をTBSオンデマンドで見つけたので、さっそく視聴してみました。

岸辺のアルバム.jpg
若き日の八千草薫に会えます。

【TBSチャンネル】より抜粋
山田太一脚本のテレビドラマ史に残る名作「岸辺のアルバム」。淡い水彩画のような、おっとりしたタイトルとは裏腹に、このドラマはあえて「衝撃の家庭ドラマ」と銘打っている。激情的な人間模様、生臭い話、どろどろした性の問題を内包した作品だ。またその一方で、このドラマは「家庭とは何だろう?」「親と子の関係はどうあるべきか」といった普遍的な難問と正面から取り組んでいる。東京郊外の多摩川沿いに住む中流家庭を舞台に、初回放送当時のホームドラマでは一切タブーとされてきたエピソードが次々と展開される。

【ストーリー】
東京郊外の多摩川沿いに住む中流家庭。一見すると幸せそうに見える家族4人。しかし、実はそれぞれが問題を抱えていた。
母・則子(八千草薫)は良妻賢母型の専業主婦。だが、見知らぬ男から電話がかかってくるようになる。はじめは知らん顔をするも、やがてその男と会うようになり…。
父・謙作(杉浦直樹)は有名大学出の商社マン。しかし、実のところ会社は倒産寸前の状態だった…。
娘・律子(中田喜子)は大学生。なかなかの秀才で大学も簡単に合格したはずだったが、ここ一年は家族に対して心を閉ざしている。やがて、アメリカ人男性と交際するようになるのだが…。
息子・繁(国広富之)は大学受験を控えた高校生。決して勉強のできる方ではないが、心の優しい性格の青年だ。だが、両親や姉の異変に気付き、思い悩むことに…。



その後のドラマ制作の流れを変えるほどの影響を与えたドラマらしいです。

あらすじを読む限り特に斬新でもないけど、斬新でもないと思える今を作った、先駆者的な作品の一つがこれなんでしょうね。
全15話もあるから飽きちゃうんじゃないかと危惧しつつ、まず第一話を見ました。
(以下ネタバレします。)

あ、面白いなこれ!

ファッションとか言葉遣いは古いんだけど、古典と呼べるような格調高い古さです。
さすが山田太一先生、登場人物が生の人間として立ち上がっていて、独特のセリフまわしのリアリティにぐいぐい引き込まれます。

則子を演じる八千草薫は上品でおっとり、子供をガミガミ怒ってても可愛らしい。
美しいけれど実年齢通りの40代後半にしか見えないのに、設定が40手前と知ってやや驚き。

夫の謙作は家庭を顧みない仕事人間で、大学生の娘も高校生の息子も親離れし、自分たちのことだけにかまけています。
則子は多摩川沿いの「夢のマイホーム」で暮らしているのに、家族の誰とも心を通わせることなく、寂しい日々を過ごしています。

そんな昼下がりの妻にかかってきた一本の電話。
それは、駅のホームで立っていた彼女を見初めたという、見知らぬ男性からのものでした。

駅で見かけただけなのに電話番号なんでわかったwww

あ、尾行して家の表札を見て電話帳めくれば一発なのか、当時は。

最初こそガチャ切りしたものの、則子は知的で礼儀正しい男に次第に心を開くようになり、電話を心待ちにさえするようになり、喫茶店でおしゃべりするようになり。
最終的には不倫しちゃった! 八千草薫なのに!!

これポカーンだったでしょうねぇ、当時のお茶の間は。
ただ連れ込み旅館に入るだけで、直截的な表現は何もないとはいえ・・・。

不倫の引き金となる、非常に印象深いエピソードが挿入されます。
男を買う人妻の話です。
楽しいことなど何もせずあくせく苦労して働き続けたあげくに、病に侵された中年女性。
一念発起して若い男を買い、自身に流れる血潮の熱さを確かめたその人妻に訪れた哀しい死。
その女性は則子の知人でした。
足繁く病床を見舞い彼女の秘密を知っていた則子は、その死によって自制心の最後の砦を崩され、ついに男と一線を越えるという展開に、見るほうもつい不倫行為に肩入れしてしまいます。
いや、これすごいわ。
貞淑な妻が不倫に踏み切る説得力十分。

則子の浮気相手を演じるのは竹脇無我です。
「びっくりするような二枚目」ですが、個人的には田宮二郎と区別がつかないし、私の心の琴線はピクリとも動きません(ごめんよ)。

一番最初の電話からして気持ち悪かった。
調査センターを装って「セックスは週何回ですか」とか聞くんだもん。びっくりして当時の放映時間を調べたら金曜日の22時枠だった。あの頃の小学生は22時にはたぶん寝ていたのでいいのか、と余計な心配までしてしまったよ。
そうか、そう思えば、たしかにタブーを破ってますよね。
しかもあらすじ読んだだけじゃよくわからなかったけど、一家族にこんないっぺんに事件起こるわけないよってくらい「ドラマチック」なんですよ。

謙作は会社の経営的危機を乗り越えるため、一流商社勤務ながら闇の仕事に手を染めて、武器や売春要員を海外から輸入している。
英語大好き長女はアメリカ人に強姦されて妊娠、堕胎。
息子はそれぞれがひた隠しにしていた秘密をぜんぶ暴露して家を飛び出してしまう。

メッキが剥がれ落ちてしまった家のなかで謙作と則子が対峙するシーンの緊迫感が、なんかちょっとものすごくて、息をとめて見入ってしまいました。

浮気をばらされた則子は言い訳をせず、神妙にうなだれています。

「償うわ・・・なんでもするわ・・」

「償うか・・なんでもするか・・・俺は、そういうへりくだったお前と一緒にいたいんじゃない」


台詞書き留めるの忘れたので、正確ではないのですが、この台詞は予想外で胸をつかれました。

謙作は昭和ヒトケタ生まれなんですよね。
子供時代は空襲に怯えたり疎開先ではろくな食べ物もない生活、その後も大抵貧乏でがむしゃらに働くしかなかった世代です。
民主主義は戦後定着したとはいえ恋愛結婚はまだ少なく、見合いのほうが多かったことでしょう。

ほんのたまに家族サービスをしても、どこか押しつけがましさが目立ち、上っ面の笑顔の家族写真をアルバムにおさめて自己満足にひたる謙作の姿を、子供たちは冷えた視線で見つめています。

かといって謙作に情がないわけではなく、ただ不器用なだけなのです。
そういう彼だからこそ、その吐露は痛々しかった。
妻の不貞にどれほど傷つき、やるせない悲憤を抱えているのか、どれほど妻をいとおしく想っていたのか、表情だけでひしひしと伝わってきました。
いやあ、杉浦直樹は名優だわ〜。
顔がもう名優。
愛され敬される役者の顔です。

ラストで多摩川の土手が決壊し、田島家は濁流にのみ込まれて流されてしまいます。
この災害は1974年に実際に起こった多摩川洪水に基づいており、川を流れていく家の映像も実際の報道映像を使用したそうです。

ここらへんはもうひたすら圧巻。

家が・・・ああ、家がぁぁぁぁぁ!!


ぁぁぁ・・・。


はァ・・・・素晴らしいドラマでした。

主題歌のジャニス・イアンの「Will you dance?」がまたなんともいえないんですよね。
このドラマを一度でも観た人は、このメロディを一生忘れないのではないでしょうか?

ノスタルジックな、優しく切ないメロディ(歌詞は怖い)が要所要所の痛ましいシーンにおいて効果的に使用されています。
もはや主題歌が主役の一人と言ってもいいくらい。


名曲。

TBSオンデマンドは最初の2週間なら無料ですんで、ぜひお試しくださいませ

posted by KIKI歌野 at 06:49| Comment(0) | ドラマ感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月23日

カルテット最終話ネタバレ感想

ああもう、どっから感想を言ったらええか、オラわかんね・・・。

カルテットに関する限り、実質45分の放映時間すべてのシーン、カット、台詞について、逐一くどくど語りたくなっちゃうので、もう何からどう手をつければいいやらですよ。

ていうか45分しかなかった!

拡大枠じゃないのは視聴率からいえば仕方ないことだけど、本当に残念。
一秒でも長くこの四人を見つめていたかったのに!
もう四人が一緒におしゃべりしてごはん食べてるところ見るだけで、しゃーわせなんですよ〜。
初回を見た時の恋の予感はアタリで、私はこのドラマとこの四人にすっかり溺れてしまって抜けられそうにもありません。少なくとも四月期のドラマで当たりを引くまでは(短ぇな)。

さて、最終話は前回の半年後くらいから話がはじまりました。
真紀(本名: 山本彰子)は他人の戸籍や住民票を不正取得したかどで起訴されましたが、義父の不審死への関与に関しては不起訴となり、執行猶予つきで夏に釈放されます。

戸籍を300万円で買った美人バイオリニストは義父を殺したのか?

などという下世話なスキャンダル記事が週刊誌をにぎわせ、真紀は最悪な意味で時の人になります。
カルテットのメンバーに迷惑をかけたくない彼女は仲間のところには戻らず、ドアの落書きやピンポン攻撃とかの悪意に耐えつつ、ひっそり息をひそめて暮らしています。

あんなに寝てばかりいたすずめちゃんは新しい資格取得のための勉強で忙しく、寄生虫だった家森さんは、ノクターン改め「のくた庵」で週七日も働いていて板前修業するとか言ってるし、唯一まともな社会人だった別府さんだけがなぜか無職の身となっています。

うん、だよね。
釈放されたはずの真紀から連絡が来ず、居所もわからないとあっては、そんな異常行動(?)も無理からぬことかと・・・。

そんなある日、週刊誌に載った「疑惑の美人バイオリニスト・白昼堂々コロッケデート」をスクープされた真紀の写真の背景からgoogle earthを駆使し、彼女の居住区域を突き止めた三人は、ゲリラ演奏で彼女をおびき出すことに成功します。
「ありガトーショコラ」の夜、路上で弾いたあの曲ね!
そしてわりとあっさりカルテットに戻っちゃう真紀さん。

カルテット10_3.jpg
すずめちゃん、家森さんのハグ(鼻血もんの逸品)を受けたら誰だってコロリですよね。

そしてそして。
最終回で出くわしたプチ衝撃は、なんといっても家森・別府ペアの「司くん」「論高さん」でしょう!
別荘に戻ってきた真紀はそれに気づき、すずめを手招きしてコッソリ内緒話。

真紀 「なんで司くん論高さんって呼び合ってるの?」
すずめ「そうなんですよ。なんかいつのまにか、なってて。すっごいイヤなんですよ」

イヤなんだwww 私すっごいいいけどwww

そこで、すかさず家森さんがキッチンから話しかける。

「真紀さん、真紀さんのことって、これからなんて呼べばいいですか?」

ああ、そうかぁ。真紀一人が名前変わっちゃって、単独で違和感や疎外感を味わわせないように、予めお互いの呼び方を変えたの・・かな? 

「あ・・・真紀、でいいですか?」

そう答えた真紀さんに、家森さんは嬉しそうにうなずいて、別府くんをチラッと見上げるのでした。

カルテット10話.jpg

可愛すぎか!諭高くん反則ですよレッドカードですよその微笑み!! 
素直やめて! 失血死するから!!

だいたい家森くんて別府くんにめっちゃ懐いてるよね。三歳年下のしっかり者の別府くんに甘えるの、本気でキュン死やばいからやめてほしいです。「ねえ別府くん」とか言いながら、別府くんのセーターの袖つまんだりしてたし!別府くんになりたい!あ、つい萌えに走ってしまった。すみません。

カルテット10_5.png
あ、ついアップにしてしまったよ、すみません。


ええ、これはCMだよね、ごめんなさい

で、無事に真紀さんを取り戻して、覇気のない「トリオ」から「カルテット」に戻ったメンバーは、真紀の大胆な提案により大きなホールで演奏するという夢を叶えることにするのですが・・・

日夜練習にあけくれるメンバー宛に届いた、一通の匿名の手紙。


はじめまして。私は去年の冬、カルテットドーナツホールの演奏を聴いたものです。
率直に申し上げ、ひどいステージだと思いました。
バランスがとれてない。
ボーイングがあってない。
選曲に一貫性がない。
というよりひと言で言って、みなさんには奏者としての才能がないと思いました。
世の中に優れた音楽が生まれる過程で出来た余計なもの。
みなさんの音楽は煙突から出た煙のようなものです。
価値もない。
意味もない。
必要ない。
記憶にも残らない。
私は不思議に思いました。
この人たち煙のくせに、なんのためにやってるんだろう?
早く辞めてしまえばいいのに。
私は五年前に奏者をやめました。
自分が煙であることにいち早く気づいたからです。
自分のしていることの愚かさに気づき、すっぱりとやめました。
正しい選択でした。
本日またお店を訪ねたのは、みなさんに直接お聞きしたかったからです。
どうしてやめないんですか?
煙の分際で続けることにいったい何の意味があるんだろう。
この疑問はこの一年間ずっと私の頭から離れません。
教えてください。
価値はあると思いますか?
意味はあると思いますか?
将来があると思いますか?
なぜ続けるんですか?
やぜやめないんですか?
なぜ・・。教えてください、
お願いします



痛ましい手紙だな・・。
正論をふりかざし人を傷つけるようなことをズバズバ言う理由は、これを書いた彼女自身が深く傷ついてきたからです。

「才能のない」カルテットドーナツホールの四人は、笑顔で会場に向かい、満員の聴衆を前に、大きなホールで演奏を開始するのでした。

「疑惑の美人バイオリニスト」「嘘つき魔法少女」のすずめちゃん、偉大な親の七光りの別府さん。そんなロクでもないメンバーを生で見てやろうという野次馬根性だけで聴きにきた人々はすぐに席を立ち、どんどん人は少なくなっていきます。

空き缶がステージに投げ込まれます。

でも拍手してくれる人も決して少なくはなかった。
届く人にはちゃんと届いたのです。・・・

と、単なる感動物語で終わらないのが「カルテット」ですよね〜。

真紀は果たして義父の死にかかわっているのか

という最大の謎は謎のままに終わりました。
コンサートの最初の演目に、「死と乙女」という不穏な題名の曲を選んだのは真紀でした。

「真紀さんのこと疑ってきた人は、別の意味にとりそう・・・なんでこの曲にしたの?」

選曲の理由を真紀に聞くすずめは、明らかに何かを含んだ顔をしています。

「こぼれたのかな・・・・内緒ね」


そう答えた瞬間の真紀の表情に、ヒヤリ、ゾクリとしました。

カルテット10_4.jpg

美しい。墓まで秘密を持っていく大人の顔。

ひょっとしたら真紀は、義父に薬を盛ったのかもしれない。
なんらかの関与はしたのだろうと私には思えました。

でもすずめは決して問い詰めないし、咎めもしない。
薄明るい、真っ白ではないグレーの幸せを内包して、カルテットはこれからも続いていく。
主題歌の通り、白黒はつけない。
真紀の秘密も、全員が片思いのこの関係すらもどこまでも宙ぶらりんのまま、この「ドラマ」は終わりました。

まあ、本当になんちゅうものを観てしまったんだろうね!

唐揚げに添えたパセリがぞんざいに扱われたことに抗議する、お理屈タイムが見れたのも良かった。ふふふ。

カルテット_10_6.jpg
この子たち、こう言ってるよね。「ここにいるよ〜」

そう、この子たちはここにいる。
パセリがないと寂しい。
色どりだけじゃなくてね。
ちゃんと気づいて、いてくれることに感謝なのだ!どんな人にも!自分自身にも!

センキューパセリ!!

posted by KIKI歌野 at 23:08| Comment(0) | ドラマ感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする